本を読むヨム yomyom’s diary

三度の飯より本が好き。

うまく意見が言えない、相手に伝わらないと感じるあなたへ。【書評】頭の中を「言葉」にしてうまく伝える。 /山口謠司

 

 

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「自分の思いや考えを言葉にする」

という行為を意識したことがありますか?

 

親しい友人や家族との何気ない会話やLINE、上司や取引先との打ち合わせやメールなど、私たちは「言葉」を使うことで自分の思いを相手に伝えています。

 

他人と関わりながら生きていく以上、「言葉」を使わずして生活することはできないのです。

 

自分の頭の中にあるものを「言葉」にして相手に伝える。

しかも、そのとき・その相手に合わせた「適切な」言葉にする。

これって案外難しいですよね? 

 

そんな「言葉にして伝える」という行為と、その方法わかりやすく解説したのが、

こちら。

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ちなみに、著者の山口謠司さんはベストセラー「語彙力がないまま社会人になってしまった人へ」(ワニブックス)を書いた方ですね。

 

この本を読んだきっかけ

私の趣味は読書・ブログ・Twitterです。

ブログやTwitterをやっていると、「どんな言葉(表現)を使えば自分の思考が相手に伝わるか」ということを嫌でも意識させられます。

 

文章力といった小手先のスキルではなくもっと深いところ、「人はどうやって思いを言葉に変えるのか」という部分が知りたくてこの本を手に取りました。

 

頭の中を「言葉」にしてうまく伝える。

 

この本を書店の本棚で見つけたときは、「まんま、これです!!これが知りたいんです!!」って飛びつきました。

 

こんな人に読んでほしい 

この本は、「文章術」「会話術」といったノウハウ本ではありません。

「考えを整理して言葉にする方法」について詳しく書かれています。

 

この本によると、自分の考えを相手にうまく伝えられない人は「物事を考える」「考えを整理する」「言葉にする」「分かりやすく伝える」

という一連の過程がうまくできていない。

 

例えば、「何かを考えた」あと直ぐに「伝えよう」としてしまう。

「考える」「伝える」の間にある「整理する」「整理したことを言葉にする」が省略されてしまうと、相手にとっては的を得ず「???」な内容になってしまう。

自分と相手は違う人間なので、このようなことは当然起こり得ます。

 

この本をとくにおすすめしたいのは、

  • 「伝える」(話す、書く)ことが苦手
  •  楽しい・嬉しい・美味しい・悲しいなど感情を揺さぶられるような出来事を、「ヤバイ」の一言で済ませてしまう
  • 言葉の力で、自分をもっと表現したい

こんな方に、ぜひ読んでほしい!!

 

言葉にできるかどうかで周囲からの評価が決まってしまう

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どんな考えも“言葉にしなければ”意味がない(p.17)

いくら素晴らしいことを考えていても、いくらいいアイデアを持っていても、それを言葉にして伝えることができなければ、周囲の人にとっては「考えていない」のと同じことです。(p.18)

 

そう。「言葉にできない」「伝えられない」ということは、周囲から「何も考えていない」「何を考えてるか分かんない(ちょっと不気味)」という烙印を押されてしまうのです。

 

 これって、大げさかもしれませんが死活問題です。

職を失うかもしれません。

人間関係を失うかもしれません。

(天涯孤独でOK!!お金なんていらない!!仕事もいらない!!という人は別)

 

職場や学校での対面の会話にしても、SNSなどのコミュニケーションツールにしても、「考えていることを言葉にして的確に伝えられる」というのは大きな武器になります。

「言葉」は仕事や人間関係を円滑にしてくれる手段。

「言葉」はその人の「評価」や「信頼」にもなり得るのです。

 

では、どうやれば「考えを言葉にする」ことができるのでしょうか?

 

まずは頭の中を整理する

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外側から得た情報や刺激に対して、なんとなく「おもしろい」「うれしい」「不思議」(中略)……といった感覚的な反応を示している時間のほうが、圧倒的に長いのです。(p.45)

要は、浮かんでは消えるさまざまなぼんやりとした「考え」の中から、「これこそ、自分が外側に向けて言いたいことだ」と思えるものだけを取り出す作業が必要なのです。

そのためには、自分の頭の中を整理することかが肝要です。(p.46)

 

外側からのあらゆる刺激に対し、「ヤバイ」「ウケる」の二語で反応(感想)を完結させていませんか?

多くの人が深く考えることをせず「なんとなく」「曖昧な」反応(感想)で終結させてしまうから、頭の中を整理することなく終わってしまう。

 

これに慣れてしまうと、本当に伝えたい(伝えるべき)ことがあっても「何て言えばいいんだっけ??」となってしまう。

著者は、この「安易で」「曖昧な」「なんとなくぼんやりした」反応を繰り返すことで、人が深く考えることをせず、結果として「考えを言葉にできない」ことに警笛を鳴らしています。

 

でも、いつも頭に浮かぶことを深く考える必要はないとも言っています。(実際そんなことできないですよね)

 

頭の中に浮かんでは消えるさまざまな情報から、「これ!」というものを切り取って行く作業が必要だと言っています。そして、その「大事なことを切り取る」作業には「頭の中を整理する」ことが必要だと。

 

(本の中では、より深く思考を整理する具体的方法ついても触れられていますが、ここでは割愛します。)

 

さて、頭の中をある程度整理させて、伝えるべきテーマやキーワードが見つかったところで、さらにそれを「言葉にする」レベルまで持っていくにはどうすればよいのでしょうか?

 

頭の中の考えを言語化するとっておきの方法3つ 

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①要約するクセをつける

文章は5W1Hを意識して、「いつ」「どこで」「何(誰)が」「何を」「どのように」と簡潔にまとめてみましょう。(p.78)

あまり書くことを思いつかなかったり、慣れないうちは、読んだ本で心に残った文章などを書きとめてみるだけでもいいでしょう。

(中略)

できれば、本の文章は丸写しするのではなく、各章で言わんとしていることを要約してみるほうがいい訓練になります。難しいことを難しい言葉のままに受け売りするのは、さほど難しいことではありません。それよりも、難しく書かれたことを自分の中で咀嚼して、平易な言葉で書き換えることのほうが難しいのです。(p.79)

 

私たちは日々いろんな情報を浴び続けています。

人との会話、インターネット、新聞やテレビ……

あらゆる情報をすべて整理することはできませんが、「これ!」と気になる情報をひとつでもいいから要約する(まとめる)習慣をつけよ、と著者は言っています。

 

例えば友人と話したことを思い出し、会話の要点となるところやそれについての感想をノートに書いてみる。

最近見た映画や本の内容で、「この映画(本)の作者のメッセージは何か?」と考えてみる。

セミナーで学んだことの要点を、ノートにまとめてみる。

 

初めて見たもの、聞いたこと、少し難しなと感じることを自分が理解できるまで考え、「自分の言葉にして」要約するというのは、慣れるまで時間がかかります。

 

大切なのは「自分の言葉にしてまとめる」ということ。

 

はじめは大変ですが、繰り返すことで単なる情報が「自分の言葉」になっていく楽しみを味わえるのではないでしょうか?

 

②少し寝かせる

少し時間を置いてから見直してみることで、その言葉を書いていた自分自身の思考を客観視できるからです。(p.81)

 

「夜に書いたラブレターは、翌朝見直すべし」とよく言われますね。

ラブレターに限らず、文章を書いたときは少し時間を置いたほうが冷静かつ客観的に内容を見直すことができます。

 

③言いたいことは4割捨てる

10の文章を書いていたら4つくらいは削ぎ落としていきましょう。または、ひとつの文章が長かった場合は、40%ほどに文字数を削ってみてください。

(中略)

慌てず、そして、もったいないと思わないことです。(p.83~84)

 

「あれもこれも伝えたい!」という気持ちはわかります。

私も今このブログを書きながら、「この本で学んだことをあれもこれも伝えたい!!」と思っています。

 

でも、伝える相手(このブログの場合は読者)にとっては、長すぎる話・文章は飽きてしまいます。(このブログも、すでに飽きて離脱している方が多いかと思います……

さらに「で、結局なにが言いたいの?」となりかねません。

 

「もったいない」「あれもこれも」という感情が余計な情報を入れてしまい、結果として本当に伝えたいことがぼやけてしまっては元も子もありません。

 

長くなってしまったので、ここまでのポイントをまとめます。

  1. 頭の中を整理して、その中から「これぞ」という大事な情報を取り出す。
  2. 整理された考えを言語化する(自分の言葉にする)3つのポイント
  • 要約する
  • 寝かせる
  • 4割捨てる

言語化する」までできれば、ほぼあなたの考えは「伝わる」ところまできています。

それを「もっと伝わる」言葉にするためには、あるエッセンスが必要です。

 

「もっと伝わる言葉」にするために“語彙力”を身につけよう

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何かを人に伝えるときの基礎の基礎が、語彙力です。(p.112)

そこからなんのイメージも広がっていかないような直接的な表現だけを羅列していても、おもしろみが少ないのです。

聞き手や読み手の感性をくすぐり、さらにイマジネーションが広がっていくような言葉を紡ぎたいものです。(p.126)

 

頭の中の考えを「伝わる言葉」にまで昇華させただけでも十分といえますが、そこに知性を感じられるかどうか、内容に奥行きが出るかどうかは“語彙力”にかかっています。

豊かな表現で、よりわかりやすく伝えるために“語彙力”は必要ということですね。

 

まとめ

頭の中にある漠然とした考えを「言葉」にして伝えるためには、

  1. 頭の中を整理して、その中から「これぞ」という大事な情報を取り出す。
  2. 整理された考えを言語化する(自分の言葉にする)
  • 要約する
  • 寝かせる
  • 4割捨てる

 3.  奥行きのある豊かな「言葉」でよりわかりやくす伝える 

  

「伝える」という行為について、ここまでわかりやすく解説した本に出会えて感動しています。

 

そして、この本から学んだのは「うまく伝える」ためには段取りが必要だということ。「うまく話せるようになりたい」「わかりやすく書けるようになりたい」と小手先だけのノウハウに頼っていては、いつまでも上達しません。

 

日頃から、「入ってきた情報の中で気になるものを要約して自分の言葉にしてみる。そしてそれを人に伝える」という訓練を繰り返すことで、確実に伝える力はついてくる。なんだか筋トレと似ていますね。

 

もっともっと本を読もう。

そしてブログに書いて、身近な人にも「こんな本読んだよ」と伝えよう。

私の「伝える力」もきっと上達することを信じて!!

そんな気持ちにさせてくれる良書でした。